今日は、Blatt靴担当のk氏の仕事場に潜入してきました。
お店が休みの間は、パン部門の助けに入らなくていいのでk氏の仕事がはかどるチャンスだそうです。
西洋の昔話では、貧しい職業の代表が靴屋さんみたいになっていて複雑な気持ちがしますが、以前靴作りを手伝ってみて本当にそうかもしれないと納得しました。
とにかく工程が多くしかも難しいのです。
Blattの靴はおそらく多くの方がびっくりするほど高いですが、それでも時給に換算すると最低賃金なんてはるかかなたに感じるくらい恐ろしく採算があっていない価格なんです。
作りおきできる既製品ならまだしも、オーダー靴だけで暮らしをたてるのはとても難しい。
でも、靴って体を支えるとても大事なものなので、私たちはお客さまの口に入るパンと同じように、お客さまの健康を守るものとして妥協せずに作っています。
私も若い娘だったころは、かわいらしい靴を何足も靴箱に入れてとっかえひっかえ履いたりしていましたが、今は足に合った靴と足に合ったサンダル1足ずつで気分よく暮らしています。
昔は、人からどう見られるかが大事だったのだと思うのだけど、今は世界を自分がどう見るかがもっと大事になったのだと思います。
足に合った作りのしっかりした靴さえ履いていれば、どこへだって歩いていけるし、疲れない。
目の錯覚で数センチ足が長く見えるより、行きたいところへどんどん歩いて行きたいと思います。
ちなみに、勉強のため初めてオーダーメイドの靴を手に入れて数日後、私たちはその靴を履いてリュックを背負い、1ヶ月間のヨーロッパ一周旅行に行ったのですが、毎日日が暮れるまで歩き回っても1つも靴擦れができなかったんです。
よい靴はよい所へ連れて行ってくれるっていうけど、たぶんそれは、高い靴が高級な所へ連れて行ってくれるのではなくて、しっかりした靴なら行きたい所へ行く支えとなってくれるのだと思いました。
靴について語りたいことはまだまだありますが、今日はこの辺で。